2002年3月のコラム

患者:最近、もの忘れがひどいんです。
医師:いつ頃からですか?
患者:…何の話ですか?

ってのがありました。
志の助でしたか。

【辞書あれこれ】
分からない語句を辞書で調べる際、これまでは、
・その語の綴りを念頭に
  ↓
・辞書を指先で繰ってその語を探し(誰です?「ABCの歌」を口ずさむ人は。あ、筆者です)
  ↓
・語句に行き着き、一安心。

ところが、昨今はウェブ上の英和・和英(国語・新語、さらに百科事典までも全て無料)辞書で、
・語を入力(時に単なるコピー&ペースト)
  ↓
・1クリック
  ↓
・たちまち語義が表示され、一安心。

手間が大いに省け、
ママは銀座でshopping.
パパは便座でs(h)itting.

 最近、ウェブ上での英文雑誌記事を読む機会があり、上記「ネット辞書」を頻繁に使用しつつ、フト気付くと、直前に調べたはずの語でさえも片っ端から忘れてら。意味を忘れるにとどまらず、その語を調べたことさえ忘れていて、冒頭の小噺聴いて泣くに笑えない昨今。筆者のアタマはどうなってしまったのでしょうか?

【記憶あれこれ】
心理学の本をバラバラにならない程度にヒモ解いてみるに、記憶には大きく分けて
「長期記憶(long term memory)」と
「短期記憶(short term memory)」があるらしい。

これらを、飲み込まないよう注意しつつ噛み砕いて言うと、

「長期記憶」は、自分の出身地や誕生日、「dog」や「one」等の意味、et
cetera 干支瀬戸ら、来し方忘れず、行く末as well忘れないであろう記憶のこと。
また、かつて必死に暗記した、「hence」だの「notwithstanding」だのといった語について、「やったのは覚えているが、すんなり出てこない」とか「言われれば思い出すのだが」という場合も、机の引き出しに喩えられることもある、この記憶ならではの現象哉。

さて、仲人の挨拶とメールマガジンは短いに限りますが、

「短期記憶」に関しては、下位分類へのチットばかしの言及をお許し願えればチョ~幸い。 
甲.感覚情報貯蔵 (sensory information storage)
 いかなる判断・解釈過程も経ない、無意識上の「ナマ」の記憶。
 掴もうとしても掴めないこと、トマトの種の如し。
 視覚では、パッと目に映った瞬間から1秒以内に消滅。
 聴覚では若干長いがタカが知れてる。
(他人の発話や音楽のフレーズ、柱時計の鳴った回数等を、ニースはリンゴに、否、ナントはナシに覚えてゐて、 後から記憶を「再生」したこと御座居ますでしょ? 奥さん)
 さらに余談ですが、
「いい仕事」している某鑑定団のいう「捨て目が利く」というのは、視覚貯蔵庫を自在に操ることかも。
乙.直接記憶 (immediate memory) —狭義の「短期記憶」
 比較的どうでもいい相手に電話をかける際に、
 rhythmicalな語呂にしたりして記憶するものの、
 つうわ後、夢の如く消え去って、「これがホントの
 『つわものどもが夢のあと』」ってことないスか?
 「1回の記憶容量『7±2チャンク』」で馴染みのアレですよ、アレ。
 ただし、座布団をあげたくなるような見事な語呂合せだと、
 期せずして長く覚えられる運命にありますゆゑ、
 ココア1つ、別扱いということに。
 また、重要な相手の番号など、
 期して長く覚えられる運命にあるものも
 コーヒー2つ、別扱いということに。
 (昨今のリダイヤル機能を鑑みると一概には言えませんが)

長く覚えられるということは、めでたく長期記憶に御成り奉り仕り侍り給ったわけで(語尾は『北の国から』風を推奨)。
ちなみに、短期記憶と長期記憶の間に、「作業記憶
(working memory);中期記憶とも呼ぶ」を想定するのが今様(いまやう)で、
それぞれ大脳の別部位の働きによる由の研究結果が出ているようですが、詳細については、別の機会が来ないことを望みつつ、「別の機会に譲る」とし、
ここでは、
・感覚情報貯蔵のうち、意識に取り上げられたものが直接記憶になり
・直接記憶のうち、長く保存される運命のが、長期記憶になるということを、あとがつかない程度に押さえておきます。
 

【分析あれこれ】
語句検索時に記憶機構がゲソ揚げ、否、イカ煮働いているかを分析するに、(ただし、前後の文脈や既知の語彙を頼りに、多かれ少なかれ意味を推測してしまった場合は、すでに長期記憶ないし作業記憶が作動しているものと思われるため、ここでは除外します)

従来式辞書検索では、
・語句の綴りを直接記憶としてインプット
  ↓
・辞書繰る間はずっと、
嫌が応でもアタマの中にその語句を抱えておらねばならぬ上、当該語句の前後に並ぶ語句(関連しているのも多い)を嫌が応でも検索の道標とすることも手伝って、
  ↓
・当該語句の直接記憶が、辞書めくり過程で、「単なるアルファベットの羅列」以上の扱いに変わり、晴れて「短期記憶以上、長期記憶未満」のお付き合いに。
 
(個人差あり)
(話の流れにも多少の無理あり?)

ネット辞書検索では、
・ブラインドタッチ(touch-typing)派は、記憶機構をバイパスしてスイスイ語句入力。いはんやコピペ(copy&paste)派をや。
♪ちょいと1語のつもりでコピペ
いつの間にやらハシゴコピペ
気が付きゃ「感覚情報貯蔵」フル稼働
これぢゃ、ハナからアタマに残るわきゃないよ
分かっちゃいるけどやめられない♪
ときたもんです。
入力下手がキー入力する際、かろうじて直接記憶に頼るものの、
  ↓
・クリックやエンターキー1つで目的達成
  ↓
・面倒臭い辞書繰りから解放
我々人間のアタマの中に抱えておく必要がなくなって、ほとんどの語句は視覚貯蔵止まり。短期記憶にすらなるか否かの瀬戸際。
なかなかそれ以上にはなり得ない。

といったところで、
♪ちょうど時間となりました♪

ここまでスクロールダウンして下さり、蟻蛾党御座居ました。
2002.3

文責:H.K.