2002年4月のコラム

翻訳における「面白さ」を意識したのは中学1年生の初夏だったでしょうか。

 日本語で「問題」は1つなのに、英語に訳すと、意味によって
 「question」か「problem」になる。(*注)

 ※question[クエスチョン]:問題、質問、…
 ※problem [プロブレム] :問題、難問、…

 「なんだか面白い」

普段、意識せずに使っている言葉が、
 解答する「問題」は”question”で
 解決する「問題」は”problem”

そんな「当たり前」なことの「発見」が面白かったわけです。
──もっとも、二者択一ではなく、実際には、matter
だったり quizだったりと色々あり、高校時代の英作文は大変だったわけですが(苦笑)。

さて、この現象ですが、機械翻訳の際にはやっかいです。

「種がある」なんてな1文があったときには、「seed(種子)」なのやら「stone(梅などの種)」なのやら「pip(りんごなどの種)」、はたまた「tricks(手品の)」etc
…なのか分かりません。

では、「○○の種がある」と○○部分に「りんご」だの「桃」だのが入っていたらどうでしょうか?
機械にうまく翻訳させるにはどうするか。

「○○」が「りんご」なら「pip」、「桃」なら「stone」等のように、「○○」部分が何かによって「種」の英訳がどうなるか………を覚えさせればいい。

でも、「○○」に当てはまる言葉なんて何百何千何万…とあるんです。「種」の他にも「掛ける」「取る」なんて十いくつも候補があるような語だってあるんです。

何億パターンと組み合わせができてしまう。
スマートな方法ではないんですね。。。つまり。

 どうしたらより効率のいい方法で翻訳させられるか

課題になるのです。

ちなみに、上に挙げた問題なんて氷山の一角に過ぎません。だから機械翻訳って難しいんです。まだまだ発展途上なわけなので。

 ──閑話休題。──

さて、こんな話があります。

理系だけど文系科目が好きな、高校生Aさんは確率が苦手。確率の仕組みが分からないせいもあり、確率の問題文が、出題者の意図通りに解釈できないからです。

変な日本語で出題されるとムカムカしてきます。
いつもなら解答を読んで、「あぁ、こう解釈するのねー」と自らを納得させることができるのですが、この日の4限目は違いました。

「ちょっと日本語がおかしい」なんて可愛らしいレベルではありません。

 接続が変?
 「てにをは」が変??
 係り受けが変???

 …っていうか、日本語が破綻してる。

先生が苦笑混じりに、問題の意味を補足するくらいですから、推して知るべし。

授業も終わり、お昼休みに突入。
友人3人と教室でお弁当を囲みつつ、話題は先ほどの授業中の話に。
「あの問題おかしいって」「校正しろってーの」等々言い合ってたの
ですが、

 A:「さっきのって、問題に問題があるよね!!」

Aさんがこう言うに至り、流れが止まりました。

 友:「え?なに??」
 友:「…(何が言いたいのか)分からん」

Aさん焦る。話の流れからして分かるはずなのにー!とか思いつつも焦る。どう言ったらいいもんか。

「うーん、うーん……」
( …ぁ!)

この間2秒。

A:「クエスチョン に プロブレム があるよね!!!」

     …どっ(爆笑)

クラス中が沸いた…と思ったのはAさんの気のせいでしょうか。

「設問に問題がある」とか「問題文に問題がある」とか、いくらでも言いようはあるかと思うんですが、皆さんならどう返しますか?

 *注:実際は”question”が”problem”と同じ「解決する問題」の
    意味で用いられることもあります。
    例えば、有名なハムレットのセリフ。。。

   To be, or not to be, that is the question,
    (生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ…)

2002.4

文責:KonoK