「私、英語なんかできないよ!」
~そんなあなたに贈る、英語の苦手意識を克服するための3つのコツ~

Byケネス(Kenneth)
日本在住、香港出身30代男性。
アルトに入る前、日本で英語教育についての仕事に就いていたことがある。

 

私は言語や翻訳のことが好きで、幼い頃から、「同じ意味なのに、なぜ違う音で表現するんだろう?」とか、「言語が違うと、どうして言葉の順番まで違うんだろう?」とか、いろいろ考えてきました。

 

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前職のデスク…英語の本に囲まれていました

 

そんな興味が昂じて、大学院時代には、「香港人の英語学習法と日本人の英語学習法」をテーマとして研究。その後、英語教育の分野で、日本人のための教材を設計したこともあるので、日本人が持つ英語に対する恐怖感についてはわかっていると思います。というより、元生徒さんに英語の失敗経験をたくさん聞かせられたからか、日本にいる期間が長くなるにつれ、自分も口から英語を出すのが怖く感じるようになってしまいました…中学校から英語で授業受けてきたはずなんですが…(笑)

 

こうした経験を踏まえて、このコラムでは、英語への苦手意識を克服するためのコツを3つ、紹介したいと思います。難しい理論とかは出しません。Think simple、簡単に考えていきましょう。

 

コツ1)人と比較しない

言葉があまりよくないかもしれませんが、日本人は「集団主義」の影響か、何でも多少なりと比較してしまいがちです。英会話の教室に入ったら、隣に座っている人と同じレベルでスタートしたい、レッスンが終わる時には同じことを平等に得ていたい、お互いに100%理解し合って会話をしたい…。しかし、言語というのは個人差が大きい分野です。早口でしゃべる方もいれば、考えながらゆっくりしゃべる方もいます。文法はめちゃくちゃでも、語彙は多い方もいれば、使える単語は少なくても、発音がきれいな方もいます。それぞれ強みが違いますので、人と比べて気おくれする必要はありません。他の人と比べないで、自分の強みを見つめて、自分にふさわしいペースで練習していきましょう。

 

一番よくないのは、英語ネイティブと比べてしまうことです。「アメリカ人の友だちがいるんだけど、彼の英語って速いしきれいだし、自分は恥ずかしくて言葉が出てこない…」そんなの当然です。アメリカ人は0歳から英語に触れているわけで、単純に「練習時間」から考えても、第二言語の学習者は、1日8時間がんばっても、その3分の1しか練習できないのです。

 

私も、向上は常に目指しますが、英語の場合でも日本語の場合でも、ネイティブと比べたりはしません。もし日本語ネイティブと比べて一喜一憂していたら、もう引きこもり状態になるしかありません。(笑)

 

コツ2)とにかく声に出す

“Sure”と“Of course”はどう使い分けるの?“Good evening”は何時までなの?“Good night”は何時から使っていいの?どうして相槌は“Yes” じゃなくて、“Yup”なの、それは皮肉じゃないの?…日本人の学習者は、勉強というか、研究が好きなようです。冠詞の‘a’、‘an’と‘the’…冠詞3つだけのために辞書のように厚い本を買ってしまったりもしますよね…

 

しかし、文法の知識はあるけどそれにとらわれてしまって全くしゃべれない人と、間違いはあるけど楽しくコミュニケーションが取れる人、どちらが魅力的だと思いますか?どちらになりたいでしょうか?

 

細かい文法の研究は言語学者に任せて、学習者は「経験値」を上げることに努めましょう。臆せず英語を使っていきましょう!

 

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前職では確かにいろいろ研究しましたが…

 

中学生の頃、英会話練習の相手もカナダ人の先生くらいしかおらず、そんなに話題もなかったので、私の場合は、毎日、英字新聞を声に出して読んでいました。ニュースを読むアナウンサーのつもりで、正確に発音するのを目指していました。

 

日本で暮らしていると英語を使う機会もなかなかありませんが、私のように一人練習してもいいし、飼っているペットに英語で話しかけてもいいし…実際に旅行中の外国人を助けるチャンスもあります。 “Where do you wanna go?” と一言声をかけることは、 “wanna”と “want to”の違いを研究するより、絶対ためになります。(どうしてもわからなければ、“Oh, sorry…I don’t know”と微笑みながら逃げてしまいましょう…(笑))

 

コツ3)「一番正しい」を追求しない

日本人は、辛抱強く我慢して勉強を続ける傾向があると思います。

自分に合わないテキストもとにかく最後までやり遂げたい…

使うあてがない言葉でも、単語帳に載っているからにはとにかく覚えたい…

 

しかし勉強する時には、「一番正しい表現をしよう」と気負うより、「一番自分らしく使える」ようになることを目指したほうがいいと思います。特に言語学習には初心者の段階で知ってしまうと邪魔になることもいっぱいあります。例えば、ちょっとした表現の違いによるニュアンスの違いを勉強したことで、「‘Please sit down.’はなんか失礼なので、使わないほうがいいかな?」、「おもしろい人は “ “interesting” より “hilarious”のほうが伝わるんだよね?」といったことが気になり、なかなか話すことができないことも多いのです。実際、私もそんな質問に答えたことが何回もあります。

 

でも、英語ネイティブは、別に話相手の英語に点数をつけたりはしていません。

Hey sir, please sit down, our show is starting.
(すいません、ショーが始まるので、座ってくださーい。)

He is really interesting.
(彼は面白いですよ。)

でいいですし、十分格好よくコミュニケーションを取ることができます。

 

英語は、コミュニケーションのための手段のひとつです。工夫は必要ですが、苦労はいりません。長く続けられる方法で進みましょう。そして積極的に使ってみましょう。

 

「Simple English is the best English」という言葉があります。意味は、「かんたんな英語はベストな英語」です。難しい文法書は投げ出して、「人と比較しない」「とにかく使ってみる」「一番正しいを追求しない」、この3つのコツで、英語を身につけていってください。そして、英語で自分の世界を広げていきましょう!

 

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去年、生徒さんたちと一緒にアメリカ(ロサンゼルス)へ行きました。
英語は自分の世界を広げてくれます!
(でもなぜか日本食いただきました…)