2002年7月のコラム

ALTでは時々言葉にまつわるアンケート調査を実施しています。スタッフにとっては生きた日本語の表現の触れることができる楽し
い作業の一つです。今回はその仕事の一端をご紹介しましょう。

だいぶ前のことになりますが、ある文章を読んでその印象を「形容詞と形容動詞で答える」というアンケート調査をしたことがあります。形容詞の回答としてこんな答えがありました。

ウソくさい。おやじくさい。アホくさい。はんかくさい。……

確かに、~くさかろう、~くさかった、~くさい、~くさいとき、~くさければ、と活用させることができます。でも、これって正しい形容詞? はんかくさいって何?

さらに形容動詞の回答を見ると、
beautifulな、stimulusな、deliciousな、……
と英語ばかりです。
よく見ると、回答者はかつての仕事仲間でした。

言葉に詰まったのでしょうか。
名詞(または形容動詞の語幹)+ 「くさい」で形容詞へ、英語の形容詞+「な」で形容動詞へと品詞を変身させていました。

「これではちょっと」ということでこのアンケート、第二弾では「~くさいは不可。外国語の多用も不可。」と但し書きを付けることにしました。

すると今度はこんな答えが返ってきました。
<形容詞>ホントっぽい。バカっぽい。ネコっぽい。犬っぽい。…

うーん。敵もさるもの。

上記はほんの一例ですが、変身の術はまだまだたくさんあります。よかったら皆さんも考えてみてくださいね。

★「はんかくさい」について
ところで、私が回答者の造語だと思っていたこの言葉、実は北海道・東北地方の方言でした。広辞苑によると、「半可臭い」という形容詞で、ばからしい、あほらしいという意味だそうです。
「半可(はんか)」の項に載っています。
2002.7

文責:青のコアラ