2005年10月のコラム

単位ふたたび

「ナノテクノロジー」という言葉を私が初めて目にしたのは6~7年
前のことだったでしょうか。英語で書かれた論文集のタイトル中に使
われていたものでした。当時はまだあまり一般的ではなかったこの言
葉、とりあえず「なんだかとても小さいものの話らしい」というぐら
いに理解していました。
それからしばらくしてナノテクノロジー(ナノメートル単位での加工
製造技術)を応用した商品が発売されて宣伝文句などに使われるよう
になり、「ナノテク」「ナノ」といった言葉をあちこちで見かけるよ
うになりました。
最近では、うす~い iPod nano
なんていう商品もありましたね。
ここ数年のパソコンのハードディスクの小型化にもナノテクの貢献が
あるので、iPod nano
に実際にその技術が使われていても不思議では
ないのですが、この場合の nano
はどちらかというと、小ささ・薄さ
を強調するものという説が有力です。
「ナノ」は国際単位系の接頭辞です。
以前この通信で日本語の数の単位を取り上げたことがありましたが、
今回は国際単位系について調べてみました。

大きい数から下にいくほどだんだん小さくなります。



ヨタ(yotta) 10の24乗
ゼタ(zetta) 10の21乗
エクサ(exa) 10の18乗
ペタ(peta) 10の15乗
テラ(tera) 10の12乗
ギガ(giga) 10の9乗
メガ(mega) 10の6乗
キロ(kilo) 10の3乗
ヘクト(hecto) 10の2乗
デカ(deca) 10の1乗
デシ(deci) 10の-1乗
センチ(centi) 10の-2乗
ミリ(milli) 10の-3乗
マイクロ(micro) 10の-6乗
ナノ(nano) 10の-9乗
ピコ(pico) 10の-12乗
フェムト(femto) 10の-15乗
アト(atto) 10の-18乗
ゼプト(zepto) 10の-21乗
ヨクト(yocto) 10の-24乗



「メガピクセルの美しさ」のように、大きい方もよく商品の宣伝で使
われていますが、意外と知られていないのがギリシャ語で10をあらわ
す「デカ」。その語感から大きい単位を想像してしまいそうですが、
1デカグラム=10グラム、1デカリットル=10リットルとなります。
ちなみに、メガはギリシャ語で「大量」、ギガは「巨人」、
テラは「怪物」の意味だそうです。

「ナノメートル」「マイクロメートル」のように、基本単位の前に付
けて使うものなのですが、普通の単語の前に付けて数量の多さや程度
の激しさを表現する使い方もあります。

「マイクロミニ」なんかがその例ですが、最近よく見かけるのは
「テラワロス」という表現でしょうか。某巨大掲示板から出てきた言
葉ですが、「現代用語の基礎知識2006」(自由国民社)にも採用され
たそうです。「はてなダイアリー」の解説によると、
「笑ったレベルが究極まで達した時に使われる言葉」ということです。
類語として「メガワロス」「ギガワロス」などもあります。

最後に私が過去に単位と間違えそうになった例を挙げておきます。
昨年の秋のことです。
「でらショッキング!」という件名のメールを受け取りました。
内容は「ドラえもんの声が変わるんだって」というもの。
「とてもショックなことをテラショッキングって言うんだ~」と
一瞬思ったのですが、よく見ると「て」に濁点が付いています。
「デラって単位あったっけ?でらって何?」と聞いた私に
早速返信が届きました。



>「でら」は名古屋の方言でveryに相当します。
>もとは「どえりゃー」なのですが、短くなりました。
(中略)
>
>用例:このえびふりゃーでらちんちんでたべれーせんがね。
>対訳:このえびふらいとても熱くてたべられないじゃないか。



単位ではありませんが、こちらも奥が深そうです。
2005.10

文責:子守熊